日本臨床免疫学会会誌
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総説
IRF5, STAT4, BLKと全身性エリテマトーデスをはじめとする膠原病との関連
土屋 尚之伊東 郁恵川﨑 綾
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2010 年 33 巻 2 号 p. 57-65

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抄録

  全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus, SLE)においては,1990年代から,HLA, C4, Fcγ受容体遺伝子群などの関連が確立されてきた.これに加え,2005年以降,ヨーロッパ系集団を中心とした大規模関連研究により,IRF5, STAT4, BLKなど,多くの新たな感受性遺伝子が報告されてきた.われわれは,これらの遺伝子について,日本人集団における関連を検討し,これらのいずれもが,日本人集団においてもSLEと有意に関連することから,これらは集団を超えて共通のSLE感受性遺伝子であることを明らかにした.また,同時に,IRF5は,集団におけるハプロタイプ構成の違いにより,ヨーロッパ系集団とは関連するハプロタイプが異なること,BLKSTAT4においては,一般集団中におけるリスク遺伝子型頻度が,日本人集団においてヨーロッパ系集団におけるよりも高く,集団としての遺伝的寄与度が大きいことなどの集団差が存在することも明らかになった.2009年末に,初のアジア系集団におけるSLEのゲノムワイド関連研究の成果が中国から報告されたが,これからも,集団を超えて共通の疾患感受性遺伝子と,集団特異的な疾患感受性遺伝子が存在することが確認された.
  また,IRF5, STAT4, BLKのいずれもが,全身性強皮症,関節リウマチとも関連することが見出され,複数の自己免疫疾患に共通の遺伝素因が多数存在することが明らかになった.

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© 2010 日本臨床免疫学会
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